古今東西、スロットの「爆発」はいつだって多くの人を狂わせてきた。
おそらく「爆発」がなければ、人は今ほどにスロットに夢中になることがなかっただろうし、どのような規模のものであれ「爆発」を経験しているかどうかで、スロットとの関わり方が激変してしまうだろう。
「スロットは面白くない」というタイプは、人生で「爆発」を経験したことがない場合がほとんどだ。あるいは「一度だけの爆発」があり、その後一切の「爆発」から見捨てられたパターン。
俺のような「インテリアとしてのアメリカンスロットも好きだ」という人間以外のスロット打ちは、基本的には「爆発するか否か」という基準でスロットを遊んでいるだろう。
かくいう俺も、オンカジのスロットで一度「爆発」を経験したことがあり、その破壊力にヤラれたことがあるスロット打ちの一人でもある。
「爆発」はスロット打ちにとっては麻薬である。それは一瞬の快楽と引き換えに、長期的にはスロット打ちの精神や理性を破壊しつくす極めて危険な魅力だ。
今回は、俺自身のオンカジでの「爆発経験」について回想しながら、スロットにおける「爆発」について考えていきたい。
Contents
一回のスピンで多額の勝利金が手に入るスロットの爆発
「爆発」というのは、スロットの専門用語で「一回の当たりで莫大な額の高配当を獲得すること」だ。
スロットというゲームが、これほど長く、また世界中の人間に愛されている理由は「ルールが単純で誰でも遊べる」ことも大きいだろうが、なんといっても「爆発」があるためだと言えるだろう。
日本のパチンコなどの大当たりなども「爆発」と呼べなくはないが、パチンコに比べて、海外のカジノで打つことができるスロットは「爆発」の規模がまるで違う。同じ大当たりでも「夢」の総額が違っているのだ。
「爆発」を経験したプレイヤーは、一夜にして一攫千金の大富豪になる人間もいれば、「爆発後」により強い「爆発」を求めてしまい、すべてを失う人間もいる。
オンカジのスロットも、海外のリアルカジノで多くの人にとって見果てぬ「夢」であった高額配当である「爆発」を採用している。
オンラインカジノの魅力はライブカジノにあるとは言われるが、広く人口に膾炙し、年々プレイヤーの数が増える安定性を獲得しているのは、やはりスロットにまだ「夢」が残されているためなのだろう。
ジャックポット機能という人をおかしくする高配当システム
スロットにおける「爆発」には規模の大小があるが、その最大のものを準備しているのは悪魔的ともいえる「プログレッシブジャックポット」のシステムだろう。
プログレッシブジャックポットというのは、「スロットゲームに参加した人間全員の賭け金が加算されていき、ジャックポットに当たった人間が、それまで積み重なった賭け金を総取りにする」というシステムである。
つまり「無数の敗者のうえに一人の勝者がいる」というのが、プログレッシブジャックポットのシステムの構造だ。
この「プログレッシブジャックポット」での当たりが本来は「大当たり」と言われていて、これは「爆発」というより「大爆発」と呼ぶべきものだ。
オンカジにおけるプログレッシブジャックポットは、それこそ「世界中のプレイヤーの賭け金」になるため、敗者の量も賭け金の総額もすさまじいことになる。
多くのプレイヤーがスロットを通して体験することになる「爆発」は、このプログレッシブジャックポットでの「大当たり」ではなく、規模はかなり小さいが十分に高配当である「当たり」を指す場合が多い。
俺自身が経験した「爆発」も、プログレッシブジャックポットにおける「大当たり」ではなく、スロット打ち一般が人生で一度は確実に経験するものである「小規模な爆発」に過ぎない。
だが、この「小規模な爆発」は「大爆発」であるプログレッシブジャックポットを期待させる、という危険な爆発でもある。スロットで破滅するタイプの人間は、「小爆発」を通して「大爆発」を信じてしまい、果てしなく軍資金を溶かしてしまうのだ。
爆発は不意打ちという形でやってくる予測不可能なもの
多くのスロット打ちは「爆発」を期待しているのだが、「爆発」はスロット打ちの期待とは関係のないタイミングで不意打ちのようにやってくる。
実際、「大当たり」のジャックポットを当てたタイプの「大爆発」の経験者の経験談などを見ていると、「当てる気なんてまったくなかった」というプレイヤーが「大爆発」している場合がほとんどだ。
有名な話では、ラスベガスのカジノで「大爆発」をして7000万円近い勝利金を獲得した日本人は、投入金額がわずか25ドルだったと言われている。しかも、打った理由は「妻が飲み物を買いに行く間、ちょっと時間があったから」だ。
オンカジの攻略サイトなどではよく「爆発を狙う方法」が考察されているが、俺は「爆発」というのは、「大爆発」でないレベルでも、基本的には攻略して狙えるものではないと考えている。
スロットにおける爆発は、ハッキリ言って「神の気まぐれ」でしかなく、予期していなかった不意打ちのタイミングでのとつぜんの爆撃でしかない。
おそらく、オンカジのジャックポットを当てて「大爆発」しているプレイヤーも、血眼になって「大爆発」を狙っていたプレイヤーではなく、ちょっとした軽い気持ちでスロットに触れたプレイヤーだっただろうと俺は信じて疑わない。
オンラインスロットの調査をしているときに訪れた爆発
俺がスロットの「爆発」を経験したときも「大当たりを当てよう」という意識がまったくないタイミングであった。俺の「爆発」のタイミングは、オンラインカジノにハマってすぐの「オンラインスロットの調査中」にいきなりやってきた。
俺はアメリカンスロットに対する興味関心から、オンラインスロットの多様性に驚きつつ、ただただ「どんなスロットがあるか」を調べていただけだった。
流れとしては、スロット打ちにも馴染み易いハワイアンドリームや、オンラインカジノのトップにつねに表示されているムーンプリンセスなどの「新種のオンラインスロット」を打ち終わったあと、カスケード式のメガウェイズ系スロットを調べているときに、「爆発」は突然やってきた。
スロットは全般的にそうだが、オンカジのスロットの「当たり」は、自分の意志を超えたタイミングで訪れて、しかも、放っておくとどんどん当たり続けて、それを眺めることしかできない、という性質を持っている。
俺の場合は「どんなスロットか」を見ていただけだったのに、シンボルが連続して揃い続け、ラッシュに突入し、あれよあれよというままに配当金が膨れ上がっていた。あまりに一瞬の出来事で俺は呆気にとられることしかできなかった。
俺は、本場のカジノでスロットを打ったことがなかった。スロットはあくまで「デザイン」が好きでインテリアとして購入していただけだったから、このときはじめて「爆発」の威力とその魅力を実感として知ることになった。
一度の爆発で理性が吹き飛び軍資金を全額スッてしまう
初めての「爆発」で気が動転した俺は、「爆発」を意識するあまりに軍資金を全額スってしまうという経験も同じ日のうちに経験した。
「爆発」も「全負け」もあっという間のことで、オンカジのスロットを通して、一日のあいだに人は天国と地獄を同時に体験することができることを俺は知った。
俺の敗因は「爆発」が簡単にくると思い込んだことだった。何しろ、最初の到来があまりにも呆気なかったから、「2回目、3回目と、同じような簡単さで何度も繰り返し爆発がくる」と考えてしまったのだ。いま思うと思慮が浅すぎるが「爆発童貞」の考えることであるため許していただきたい。
当然、はじめの「爆発」がまるでなかったかのように、その後はまったく当たりがなくリールが回り続ける時間が続いた。
ここで「爆発」のもう一つの危険な側面が出てくる。そう、「爆発」は、一度経験してしまうと「やめどき」がわからなくなってしまうのだ。
スロットにおける「爆発」は、早い人であれば前述した25ドル程度のスピンで唐突にやってくるし、遅い人であれば全額投入したところで死ぬまでやってこない。
だが、スロットの「爆発」における恐ろしいところは、「この全額を使い切ったあとの、もう1スピンで爆発があったんじゃないか」という思考を人に植え付けることにある。
「あともう1スピンだけ」を繰り返し、やめどきを見失い、ついに「もう1スピンだけ」すら打てなくなるのが、スロットというゲームのおそろしさであり、魅力である。人によっては、「もう1スピンだけ」のために借金生活に入る人もいるだろう。
俺の場合は、初回の「爆発」で手に入れた勝利金が気が付くとゼロになっていたときにハッと冷静になることができたのが幸いだったといえるだろう。
もし俺に妻子がなく、「本当に好きなのはアメリカンスロット」というこだわりもなかったならば、あのまま「もう1スピンだけ……」を繰り返して、路頭に迷うことになっていたかもしれない。
それ以降、俺は「爆発」は期待せずに、新しいスロットが出たら試しに打ってみて「小爆発」ともいえない「小規模な勝利」であっても、わずかに勝利金が出たら「やめる」と決めてプレイするようになった。
オンカジにおける「爆発」体験のまとめ
- 爆発は「小爆発」から「大爆発」まで規模がある
- 爆発のタイミングは神の気まぐれであり狙えない
- 爆発を経験するとやめどきを判断する理性がなくなる
以上が俺の「爆発」体験から導き出した、オンカジにおけるスロットのまとめである。
オンカジの遊び方は人それぞれであり、当然のことながら「爆発」を期待し、「爆発」を追い求めて「もう1スピンだけ」といって打つスロットがもっとも刺激的であり、快楽も失うものも大きい。
俺は、俺がやっているような「堅実な打ち方」がすべてだとは思わないし、俺も許されるのであれば、また「もう1スピンだけ」というジリジリと寿命が削られるようなスリルを味わいたいとさえ思う。
だが今は「爆発」のことは考えず、「ジャックポット?何それ?」という態度を装ってスロットを打つ生活を継続させたい気持ちのほうが強い。
忘れたフリをしているだけで、心の底で「ジャックポット、もしかしたらあるかも…?」と考えている時点で、俺はいまも「大爆発」からは遠ざかっているのかもしれないが。