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時間の概念がないオンカジのスロットには通用しないジンクス

スロット打ちを見ていると「溺れる者は藁をもつかむ」ということわざがどうしても脳裏に浮かんでしまう。

オンカジのスロットに限らず、ギャンブルは全般において偶然性が支配していて「勝ちやすくなる方法」「勝てる方法」などはないし、仮にそういう方法があったとしても、現実の持つ偶然性がそれらの方法を粉砕してしまい無力化するというのがギャンブルの本質ではないだろうか。

もちろん、俺がこんな身も蓋もないことを言うまでもなく、すべてのギャンブラーはこういったギャンブルの本質を理解したうえで、それでも「勝てる方法」にすがってしまうのだろう。そうでもしないと、精神が保てないというのも、またギャンブルの本質の一つなのかもしれない。

スロット打ちの間で「勝てる方法」として都市伝説化し、信仰すらされているジンクスの一つに「当たりやすい時間」という迷信がある。

「当たりやすい時間を狙って打てば、当たりにくい時間に比べて当たりやすい」と、このように書いてみるといかに頭の悪い文章であるかが一目瞭然であるこの「当たりやすい時間」というジンクスは、いわゆる「小泉構文」と言われているものに近い。要するに、中身がない空論だ。

俺の結論としても「オンカジのスロットにおいて『当たりやすい時間』などという時間帯は存在しない」というものにしかならない。

正直、オンカジのスロットにおける「当たりやすい時間」については考えるだけ時間の無駄であるのだが、今回はせっかくなので、「当たりやすい時間」がない理由や、「当たりやすい時間」というトチ狂った考え方がどこから発生するのかについて、少しばかり考察していきたいと思う。

オンカジのスロットに当たりやすい時間がない二つの理由

オンカジのスロットに当たりやすい時間がない二つの理由

オンカジのスロットに「当たりやすい時間」がないと断言できる理由としては、「ライセンス」と「乱数発生器による管理」という二つの観点からオンカジのスロットの特徴を見ていけば明らかになるだろう。

まず、オンカジというのは運営をするために「ライセンス」を取得しなければならないという事情がある。

ライセンスを取得せずにオンカジを運営した場合、そのオンカジは違法ということになり運営ができないのだから、「オンカジのスロットを打つ」ということは「ライセンスに定められたルールで用意されたスロットを打つ」ということを意味している。

さて、このオンカジの「ライセンス」の審査を通して、取得後も維持していくためには、「スロットやライブカジノなどのゲームの意図的な操作や調整をしてはいけない」という禁止事項を厳密に守る必要がある。

オンカジ側は、ゲームプロバイダが提供するスロットを引き受け、それをユーザーに提供することだけが許されているのであって、そこに「操作」や「調整」をする余地がない。

要するに、オンカジは、ライセンスを取得している以上は「当たりやすい時間」や「当たりにくい時間」のような時間帯を、意図的に作る権利を最初から一貫して剥奪されているのだ。

この一点だけですでに「当たりやすい時間」がないことの説明はすべて終わっているのだが、まだ「ジンクス」を信じたい人たちからしてみたら「でも、ゲームを提供するプロバイダ側が操作可能なのでは?」という疑問も出てくることだろう。

しかし、その疑問に関しては、もう一つの「乱数発生器による管理」という観点から完全にトドメを刺すことができてしまう。

乱数発生器による管理によって誰も予想することができなくなる

ゲームプロバイダが提供するオンカジのスロットは、すべて「RNG」といわれる「乱数発生器」によって管理されている。

この乱数発生器は、めまぐるしいスピードで乱数を発生させて、そのランダムに発生した数字によって勝敗を管理していくシステムになっている。

乱数発生器が発生させる乱数の処理速度は人間の能力では把握できないものになっており、また、規則性がまったくない状態で乱数を生み出し続ける仕組みにもなっているため、「乱数発生器が導入されているスロットの予測は誰にもできない」という状態がたえず生み出され続けている。

オンカジのスロットの「確率」は「一回ごとに生まれ変わるもの」とイメージするとわかりやすいだろう。

オンカジのスロットには「その瞬間に発生した乱数にあわせた確率」だけがあるため、基本的に「時間」という概念が存在しない。

過去も未来もなく、ただただ生まれ変わりながら立ち上がる「現在」だけがあり、「連続する時間」という持続性を持たないオンカジのスロットには、そもそも「時間帯」というものが発生する余地がはじめからないのだ。

「オンカジのスロットにおいて『当たりやすい時間』などという時間帯は存在しない」という俺の冒頭の結論は、より正確には「オンカジのスロットには『時間』などという概念すらない」という結論にまで徹底的に切り詰めていく必要があったのだろう。

当たりやすい時間という迷信はどこから生まれたのか?

オンカジのスロットに対して発生した「当たりやすい時間」という誤った迷信はどこから生まれたのかについては、「パチンコ・パチスロ」に源流があると考えることができる。

「開店から閉店まで」というパチンコ・パチスロは、「24時間いつでもどこでも打てるオンカジのスロット」と違って、まずそもそも「時間」に縛られた遊びである。

「何時から打ち始めるか」「何時で打つのをやめるか」ということから遊び方を構築していくのがホールで打つパチンコ・パチスロの宿命である以上、「当たりやすい時間」という考え方が芽生え、熟成されていくのは、ある意味当然の流れであるといえる。

実際、早朝の開店前からパチンコ店に並んでいるパチンコ・パチスロ打ちは「開店から数時間が当たりやすい」という「当たりやすい時間」を信じているからこそ、あのように行列を作るわけだ。

また、これはパチンコを打ったことがある人間なら一度は経験したことがあるのではないかと思うが、「ケツがあると当たりやすい」という体験がパチンコにはつきものである。

「閉店間際に急に出玉がよくなる(残り時間が少ないのに出る)」という体験を通して、パチンコ・パチスロうちは「当たりやすい時間」という不確定要素に対して「確信」を抱くようになる傾向が多くみられる。

また、パチンコ・パチスロには長らく「設定」という幻想もセットで提供されてきたため、「設定」と「時間」という概念が悪魔合体するかたちで「当たりやすい時間」という考え方が誕生し、定着していくことになったのだろう。

当たりやすい時間はパチンコ・パチスロにおいても眉唾だ

だが、「当たりやすい時間」という考え方は、パチンコ・パチスロファンの間でも「オカルト」であったり「迷信」であったりすると考えられており、マユツバものである。

特に、パチンコに対して与えられた厳しい法規制によって「設定」という幻想にヒビがはいって以降は、「当たりやすい時間というのは、本当はなかったのではないか?」という風に、歪んだ考えの修正が進行している状況にある。

パチンコ・パチスロ打ちの間でも「当たりやすい時間」というのは、「半分ギャグ、半分本気」というような身も蓋もないジンクスとして生き残っているような考え方にすぎないのではないだろうか。

実際、「当たりやすい時間」ということで一定の評判を得ている早朝のパチンコで、もし本当に「当たり」が頻繁に出ているのであれば、これほど多くの「パチンコを原因とした借金持ち」は誕生しなかったはずだ。

「早朝のパチンコ・パチスロ」が「当たりやすい時間」とされていた理由としては、「打っている人が多い時間帯になったせいで当たっている人が多く感じられただけ」というのと「開店前のリセット後に打ったスロットがたまたま当たりのタイミングと重なった」という二つの理由が考えられる。

オンカジのスロットに関しては「打っている人がどのくらいいるか」を知ることもできないため、「だれがどの時間帯に当たっているか」を知ることすらできないという実情がある。

また、乱数によって管理されているオンカジのスロットには「一日ごとのリセット」もないので、「早朝一発目の当たり」というような考えかたも採用できない。

パチンコ・パチスロファンの間でもすでに「オカルト」になっている「当たりやすい時間」というものは、「オカルト」が発生する土壌がない「無時間性」が本質のオンカジのスロットには、本来はその考え方自体を「移行」することさえできないのではないか、というのが俺の考えだ。

考え方の「源流」を見つけ、そこからいくら水をひこうとしても、そこに新しい「川」が発生することはないし、そもそも「源流」から水をひくこと自体が間違いだし、できないだろう、ということである。

オンカジスロットの当たりやすい時間のまとめ

オンカジスロットの当たりやすい時間のまとめ
  • ライセンス取得のために操作が禁じられている
  • 乱数発生器による管理によって予測ができない
  • 「当たりやすい時間」どころか「時間」がない

オンカジのスロットにおける「当たりやすい時間」のまとめは以上になる。

冒頭にも書いたように「溺れる者は藁をもつかむ」としか言いようがないのが、この「当たりやすい時間」という考え方である。

もし「溺れていない」のであれば、「半分冗談」くらいの気持ちで「藁」でしかない「当たりやすい時間」というジンクスを信じてみるのも一興かもしれない。

だが、もしオンカジのスロットで「溺れている」状態にあるのだとしたら、その「藁」は、いくらつかんでも身体を持ち上げてくれない「藁」でしかないため、注意が必要だ。

もしオンカジのスロットで負けが続いているのなら「当たりやすい時間」を信じて打ち続けるのではなく、「打つのをやめる」という選択をするのが賢明であるだろう。